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大逆転裁判×シャープが大家電コラボレイション中!コラボ記念の大独占インタビュー!ゲストは塗和也さん・牧野泰之さん(後編)

大逆転裁判シリーズは、19世紀末・明治時代の日本と倫敦を舞台に、成歩堂龍一の先祖・成歩堂龍ノ介が活躍する大逆転劇。2025年7月、発売から10周年を迎えました。それを記念して、シャープ株式会社とまさかの大家電コラボが実現。本作のアートディレクター&キャラクターデザイナー・塗 和也さんと、大逆転裁判1&2プロデューサー・牧野 泰之さんにお話をうかがいました。こちらは後編となります。

塗 和也さん(以下、塗さん)
大逆転裁判シリーズのアートディレクター&キャラクターデザイナー
牧野 泰之さん(以下、牧野さん)
大逆転裁判1&2プロデューサー
児玉 真佑
COCORO VOICEの企画開発主任
シャープ社員

目次
大アクスタセット開発秘話【覺悟のネズミと横並びのヒヨコ編】
大アクスタセット開発秘話【ボヘミアの少年マスクをつける編】
大アクスタセット開発秘話【キャラクターを語る編】
大アクスタセット開発秘話【最後の大検討編】

コラム後編です。改めてアクスタを紹介していこうと思います。おさらいとなりますが全2種類、大逆転裁判,大逆転裁判2に登場したキャラクターをそれぞれセットにしています。登場キャラはワガハイなどを含めると128体、アクスタ自体でいうと複数キャラで1個となっているものがあり全部で123個となります。なかなか類を見ない数とレアなキャラクターを登場させることができました。

 

大アクスタセット開発秘話【覺悟のネズミと横並びのヒヨコ編】

塗さん、牧野さん、後半戦よろしくおねがいします。早速ですが大量の設定画をご提供いただきありがとうございます。前半のコラムにありますが「これが最後の仕事」と思って取り組んでいて、かなり全力で押し込めたかな、と思います。
いいですね!こういうのは中途半端だとお客さんに「今回はスルーでいっか。」と簡単に思われてしまうので。今回のアクスタセットはアノ「ネズミ」までも含まれていて、一味も二味も違いますからね。

キュッと握られていた、あの、ネズミですね。ちょっと過激な革命家が登場するのですが、その設定画にセットでネズミのデザインもあって、塗さんネズミもデザインしてる!すご。と思っていました。
「アノ、ネズミも忘れずに入れて!」と。(笑)
そうでしたね。(笑)全力なわけですからネズミも入れます。ファンの方にも速攻で気づかれていて、ここまでやるのか、って。みんなでワイワイ盛り上がってくれていました。入れて良かったです。
やっぱり何よりお客さんの想像を上回らないといけないですからね。このネズミがいることによって、このアクスタ商品全体に対する“覺悟“が伝わる。いわば、今回の覺悟の象徴がアノ「ネズミ」なんですよね。(笑)
確かに。(笑)ネズミを入れようと思ったとき、これは妥協なしやなって引き締まりました。他にもヒヨコもいます。ジェゼールがブレイクするところで飛び出すキャラクターなのですが、1羽だけ黒いのがいるんですよね。

みにくいアヒルの子のイメージで。(笑)ちなみに確認なんですけど、現状の試作品だとヒヨコ達が上下二段に分かれて並んでますが、製品版は4羽とも横並びになりますよね?
塗さん、それずっと言ってますよね。(笑)
なります。(笑)間に合いました。デザイン修正いけたのでファンの皆さんには横並びのヒヨコが届きます。実物がないのでイメージとなりますが画像を載せておきます。横並び。

(ちなみに、他のいくつかのキャラについても、塗さんにご監修いただいた時に、サイズ感をちょっと整えるなど、ちょっとずつ調整が入りました。台座の色なども。)

やっぱり同じ地平でザッ!と立ってもらって、皆が横並びじゃないと~。(笑)
大逆転の1話でいうと、渦久丸と九郎丸がいますね。まさかこの二人をアクスタにできる日が来るとは。
この二人は是非、法廷での姿を再現して遊んでいただきたいですね。こうやって。ニュッ!ググッ!ニュッ!

渦久丸ファンにはたまりませんね。(笑)
実は九郎丸はイラストとしてはけっこう描いてるんです。逆転裁判シリーズ20周年のイラストにも紛れ込んでいたり。動物達と同じくアクセントに重宝されているキャラでもあります。(笑)ちょっとしたコダワリポイントとしては、現代の子供は鼻水出てないですけど、時代考証の観点から九郎丸はあおっぱなが出ています。

 

大アクスタセット開発秘話【ボヘミアの少年マスクをつける編】

あと、今回は「仮面のギミック」というのも挑戦しています。もともとアイツをアクスタにする時に、せめて仮面は付ける必要あるか?みたいな話を牧野さん達としていて。
もちろんアクスタ化はして欲しいんですが、ネタバレのことはずっと気にして10年やってきたのでどうしましょう?って話をしましたね。
それで、アクスタを作ってくれた制作会社の担当者さんに「アクスタを上下に重ねたらマスクみたいになりますかね?」って。実験をしてもらったら、なんかそれらしくなって。
ただ、実験時は仮面の厚みがアクスタと同じで横から見たらえらい事になってて、担当者さんが品質が保てるギリギリまでプレートを薄くしましょうって実験に付き合ってくれました。無事に顔も見れるし仮面もつけられることになりました。
マスクの着脱ができるアクスタなんて見た事なかったので、本当にできるの?って思っていましたが、実現できちゃいましたね!しかし、まさかのゴッツ少年までとは。(笑)
そうなんですよね。(笑)どうせだったらグーロイネもやろうと思ってて。で、画集確認してたら「そういえばゴッツくんも仮面つけてたやん」って。3人とも仮面をつけ外しできるようにしました。グーロイネは気づいている方もいらっしゃいましたね。


一番笑えるのはゴッツ少年のマスクの着脱ですね!こんなに小さいパーツが?という驚きも含めて。グーロイネのマスク姿は、開発当時どうしても登場時にマスク姿にしたくて、ゲームにねじこんだデザインなので、こうしてギミック付で再現されると嬉しいですね!
ストアの写真で、ゴッツくんの仮面もこっそり入れてますが、小さすぎて気づかれてない気がしますね。

ご覧いただいておりますお客様に向けてご連絡です。大変小さな部品ございますので小さなお子様、猫や犬などがいる環境ではお気をつけください。また、万一止めるパーツを紛失した時は各自でいい感じに貼り付けてくださいませ。

大アクスタセット開発秘話【キャラクターを語る編】

ところで、すごく素朴な感じですが、このアクスタたちを眺めながら好きなキャラなどについて話をしてみようかと。
僕はバンジークスですね。全ての逆転裁判シリーズの登場キャラの中でも、バンジークスが一番好きです。とにかくかっこいい。こわい割に案外融通も聞いてお茶目なところもあるし。ファンの皆さんから亜双義、亜双義と言われるのが実はちょっと複雑なんですよ。みなさんが「亜双義!」って盛り上がってくれているところを拝見する度に、うれしくなりつつも、「むぅ‥‥」ともなっちゃうんです。(笑)

バンジークスは北川保昌さん作曲のテーマ曲もセットで好きですね。北川さんは本当にスゴイ。僕は大カプコン展を担当しているのですが、7.1.4ch環境でゲーム楽曲の進化を体感できるコーナーがあります。ちょっと職権乱用感ありますが、そこでバンジークスのテーマ曲をしっかり聴けるようになっていて、一緒に放映している映像の中にも、「〇〇する無礼。どうかお許し願いたい。」という例のフレーズが流れるシーンを入れ込んでいます。

(画像をタップすると大カプコン展のWEBページをご覧いただけます)

バンジークスは、とにかくダークで格好良く!と思ってデザインしましたからね。デザインは『大逆転裁判1』の発表時から反響も大きくて、人気もあったんですけど、劇中で内面を描ききれてなかったのもあって、『1』発売後の時点では亜双義の人気が突出していましたね。でも続く『大逆転裁判2』で見せ場もありつつ、内面もしっかり深堀りされたので、最終的には亜双義にも負けない愛されキャクターに成長してくれて嬉しかった記憶がありますね。

そうそう、あと是非“アイリスのお守りたち”も入れてほしいって言ったんですよね。

全部いれました!ワガハイもトビーもお守りverのデザインがあって、通常デザインの二匹とは別で入れてます。ちょっとずつ違う二匹を楽しんでいただきたいですね。あと、この子知らなかったのですが、“ヘッジーナ”でしたっけ?

左がお守りのトビー、右がヘッジーナです

ジーナのお守りキャラですね。モチーフはヘッジホッグ、いわゆるハリネズミですね。ジーナは普段ちょっと壁があるというか、本音と裏腹にツンツンしているキャラなので。そういったキャライメージを重ねてこのデザインになりました。ハリネズミのジレンマってやつですね。このお守り達は全てアイリスが考えて作っているという設定なので、全員アイリス目線からの姿なんです。そういった事もあり“創造主”のアイリスは可愛い姿ですけど「クマリス」…つまり“クマ”となっています。実は一番強い。(笑)
そういうことだったんですね。アイリスが最強ってことか。寿沙都はウサギだから優しそうで、そして龍ノ介はネズミ‥‥。(笑)
あくまでアイリスから見たキャラのイメージということで。(笑)
貴重なお話ありがとうございます!このままずっと喋っていたいところですが、これは一生かかりそうですね。またいつかやりましょう。

 

大アクスタセット開発秘話【最後の大検討編】

あらためて、やはりこれだけ並ぶと壮観ですね!ここにはシークレットのキャラは飾ってないんですよね?
はい、ここからは外していますね。クリア前の方も安心のネタバレ対策です。なので実際のアクスタの数量はもう少し多いです。では。最後にふわっとシークレットキャラも商品紹介していこうと思います。
シークレットのキャラでアクスタ用に描き足したものありましたよね?
大英帝国のその後の二人、とかですね。元々は『大逆転裁判2』の画集用に描いたイラストで、画集では足元は構図上トリミングしていたのもあって、全然描いてなかったのですが。
これもアクスタ用にお借りできませんか?って。
ちょうど10周年記念イラストの追い込み中で本当にそれどころではなかったんですけど、確かに喜んでくれる人がいそうなので、いっちょ描きたすか~!と。ついでに衣装デザインも一部更新しました。画集と今回のアクスタ両方ゲットされた方はその違いもお楽しみください!
本当にありがとうございます!設定画と言いつつその二人のシーンは本編に登場しないんですよね。
基本的に今回のシークレットのアクスタは全部画集用の描き下ろしが元ですね。
ファンの方からも、カプコンカフェの展示のシルエットを見て『きっと○○なんだろうな!』という予想が出てました。いったんストアにはキャラが分からないようにして全員の写真を掲載しています。そちらは最初普通のボカシだったんですけど、これだとアカンという事で塗さんにモザイクをつけていただきました。
シークレットの情報を伝えたい方々というか、設定画集も見ていただいてる人だったら、これ位の情報でも十分わかりますからね。この情報で何かわからない方にとっては不要なネタバレなので、不意に情報を踏んじゃう可能性を考慮して、保険をかけさせていただきました。『2』の画集の時に、もう大逆転の仕事はこれで最後だと思っていて、ゲーム内で描かれていない隙間や過去設定、後日談の片鱗を出来る限り詰め込んで残しておきたいなと描いたものですね。
大逆転裁判2の開発が終わったあと塗さんの席にうかがったら作業されてて、新作絵描いてるぞ!って。開発後に新規絵が増えてるなーって。(笑)
当時ゲームを買ってくれた人がクリア後も、大逆転のキャラ達のアレコレや可能性をもっと色々と、末永く想像して楽しんでいただけるようにと。自身も開発直後の温度感のままの地続き感とキャラに対する解像度と記憶が鮮明な内に描いておかないとと思って。時間が経過するとまた違ったものになってしまいそうだったので、開発追い込み後の体に鞭打って描いていたのでラフばかりですが、その時期でないと描けなかった絵だと思うので、描いておいて良かったですね。
その思いは伝わってると思います。コラボ発表後からも塗さんの描かれた設定画について、あれもこれもアクスタに入れて欲しい要望があって‥‥。例えば、ドレッバーは熱烈なファンの方も多いので。彼の10年前の姿も入れてあげたかったです。個人的にドレッバーの悲劇の話が好きなんですよね。
ドレッバー人気ありますからね!彼も大逆転10周年絵に入れ込みたかったけど入れられなかったキャラの一人でもあるので、今回フォロー出来てよかったです。

今あらためてラインナップを見ていて思ったんですけど、幼少期の龍ノ介たちも入れたかったですね(画集を眺めながら)。でもこの時期の龍ノ介と亜双義はまだ出会ってなくて、ある場所ですれ違っていたかも?という距離感が大事なんですよね~。寿沙都も厳密には年齢が違うので、子供時代を同列で並べるのはおかしいんですけど。バロックの子供時代と赤ちゃんアイリスもあるので、この3人をラインナップに入れると子供時代の姿を並べられるよね。

 

たしかに‥‥。

 

‥‥いったん聞いてみるだけなのですが。

アクスタを作っていた時は今回のラインアップで全力着地しました。が、例えば、今からでも、加筆対応いただける可能性ってあり得ますか?スケジュール的にはぼちぼち量産タイミングではあるのですが。

 

う~む。

 

でもこの亜双義の子供時代の絵は完全に後ろ姿だな‥‥もうちょっとだけ横顔を見せるように描きなおせば、二人の当時の距離感も維持できるか‥‥。そうなるとやはり寿沙都も欲しいな~。

 

(ドキドキ)

 

‥‥よしっ!今からでもねじ込めるなら3人分加筆しますよ!‥‥あっ、また自爆しちゃった?(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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‥‥という事で、コラム用のインタビューでしたが、気づけば最後はアクスタ追加の検討会となりました。さらっと書くとフィクションぽくなりますが、すべて実話でした。

ファンの皆さんの要望・反響は可能な限り答えるのが我々の仕事。翌日、仮面の実験に付き合ってくれた担当者さんに相談。塗さんも加筆したイラストを速攻で送ってくれて、‥‥そこには検討会では話題に出てなかったアイツのオマケが入っていて‥‥。

‥‥様々な調整を経て、無事。下記の通り、お値段もお届け日も据え置きでアクスタのキャラが追加となりました。

 

大逆転裁判1 デラックスアクスタセット
4キャラ追加

成歩堂 龍ノ介(幼少期)
御琴羽 寿沙都(幼少期)
亜双義 一真(幼少期)
■■■ ■■(港の漢)

※試作品が無いので紙で作ったイメージです、白い部分は透明になります。

 

 

大逆転裁判2 デラックスアクスタセット
1キャラ追加

イーノック・ドレッバー(10年前)

 

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コラムは以上となります。最後まで読んでいただきありがとうございました。少しでも商品にご興味を持っていただけましたら幸いです。

ここまでお付き合いいただいたあなた、ぜひ、このコラムをファンの皆さんに宣伝いただきたく、何卒よろしくお願いいたします。

あと、登場キャラは今回の追加で133体、アクスタ自体でいうと複数キャラで1個となっているものがあり全部で128個となりました。

大逆転裁判。祝十周年、大家電コラボレイション。異議なし。

 

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